オラクルのラリー・エリソンがつくった”マイホテル”

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 ヤンセンです。
 「不良億万長者」の別名を持つ IT 界のお騒がせキャラ、オラクルの創業者 & CEO のラリー・エリソン。昨年12月、コロナから逃れるためハワイのラナイ島に移住したことで話題になった。
 このラナイ島というのは、マウイ島の4分の一くらいの小さな島だけど、ラリーが98%(残り2%は空港とか公有地)を所有している、彼の島。ラリーの天敵として知られるビル・ゲイツが結婚式をあげた島でもある(だからラリーがビルへのイヤがらせで島まるごと買った、なーんて噂も当時出てたな)。
 この島には、2019年11月にオープンした(って言っても、もともとあったホテルをリニューアルしたものだけどね) センセイ・ラナイ、ア・フォーシーズンズ・リゾートというラリーが手がけた「ラリー’s マイホテル」がある。オール・インクルーシブ・リゾートで1人1泊2700ドルから、ミニマムステイ3泊からという、いわゆる富裕層向けホテルだね。
 人間、金を持つとまずワインだ、グルメだ、高級車に高級ホテルだって、贅沢三昧まっしぐらに進むけど、それも一段落すると次に気になるのが健康。ってことで、ここは心身を癒すウェルネス・リトリートが売り。
 ラリーのホテルについて語る前に、リニューアル前の元になったホテルについて少し触れておかないとね。
 もともとこの島は、ドール社が所有する実にのどかーなパイナップル・プランテーションの島だった。そこに1990年、2軒のホテルを建てたのは、デイヴィッド・マードック氏。この人が “独裁者” として全権をもち、指揮をとってつくったのが、海と山、まったくキャラが異なる「ロッジ・アット・コエレ」「マネレ・ベイ・ホテル」だった。1990年代には、ビル・ゲイツがここのゴルフコースで結婚式をあげたり、ハリウッドの映画スターやハワイの普通のホテルには飽き足らないホテルジャンキーたちが訪れる、知るひとぞ知るハイダウェイ(隠れ家)だった。
 僕もその頃に泊まったけれど、山と海、それぞれ個性があって、いいホテルだったね。特に「ロッジ・アット・コエレ」の方はマードック氏のこだわりというか情念のようなものが随所にこめられたホテルでなかなかおもしろかったけど、今回のリニューアル後の写真見たら、跡形もなくなって、カラリとしたまったく別のホテルになってたって感じだね。
 その後、フォーシーズンズの運営に変わってつまんなくなったけど、あのラリーがどんなホテルに仕立てあげたのかは興味がある。

で、このラリーという人間だが。

 実は今回イラストを描くんで、はじめてちゃんと彼の写真を見たんだけど、世の中に流布している「不良億万長者」だとか、やんちゃで傍若無人な彼のイメージとは、ぜんぜんちがう人間だよ、このラリーって男は。その内面は非常に堅実で、頭はクール、バランスよく周囲が見られる。目の前のことにのめりこまず、俯瞰して、一歩引いたところから物事をみられる。その場、その場で酔狂でやんちゃなキャラも演じるけれど、カネの軸をきっちり持っていて、常にテーブルの下ではそろばんをはじいている。
 思えば、オラクルが Java を買収したときもそうだったよね。あれだけ革新的なものを抱えこんだと思ったら、一転して保守的な路線に転じてビジネスを伸ばす。ただいま係争中で IT界 がかたずをのんで注視している Google との争奪戦の訴訟に、この人のビジネスマンとしての資質は出ているかもね。
 この男、本心は絶対に見せない。
 彼自身に何か突出したクリエイティブな才能があるわけではないけれど、人の才能を見抜く力があり、人のつかまえ方が実にうまい。映画プロデューサー、っていうのがぴったりかもしれない。なーんて思ってたら、彼の息子と娘はともに映画プロデューサーなんだってね。やっぱ、彼自身のなかにもそういう血が流れているのかもね。ってことは、ホテルのプロデューサーとしてはばっちり。向いてるよ。
 ラリーがはじめてホテルをつくったのは、2017年。アメリカ西海岸マリブのノブ・リョカン・マリブ。ラリーが所有していた2階建ての古いビンテージ・ビーチ・モーテルを16室のジャパニーズ・リョカン風にリモデリングした。

“ノブ” とは、ロバート・デニーロと共同で「NOBU HOTELS」をたちあげた元 寿司職人のホテリエ・松久信幸氏のことで、今回のラナイでも「センセイ byノブ」として食の面でパートナーシップを結んでいる。たしか当時は、客室料金が最低1100ドルからというアマンリゾーツ・クラスの富裕層をターゲットとした「ウルトラ・ハイエンド」のホテルの「ノブ・リョカン・コレクション」を世界各地でチェーン展開する予定・・・なんて言ってたな。
 ラリーは日本びいきでも有名で、自宅は桂離宮を模してるとかで日本庭園に瓦屋根、縁側に畳ルームもありで、大親友のスティーブ・ジョブスともこの畳ルームで語り合ったりしたようだ。そういえば、ラリー、京都南禅寺の何有荘(推定80億円以上)を購入して話題になったこともあったね。

そんな彼にとってのホテルとは何なのか?

 これまで書いてきたこととは逆で意外なようだが、金儲けではない、と僕は思うね。金ができたからこそ、自分がやりたかった夢を実現しようとしているんだと思う。言ってみれば、彼にとってのヨットと同じようなものなんじゃないのかな。
 金ができてから旅の楽しみを知り、日本を訪れ、料理も含めてまったくちがうカルチャーに出会った。そんななかで、金儲けではないところの人生の楽しみ方、のようなことを覚えたんだと思う。
 その行き着いたところがホテルだった。自分が好きな世界を純粋に実現できるところとして、ホテルはまさにぴったり。
 天下のGoogle との訴訟に勝ったら、またまた資産がぐーーーんと増えちゃうわけだし、ラリー、おもしろいホテル、どんどん作ってよ!

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