アマンリゾーツ 闘いの歴史<5>

ヤン・センです。
さてさて「アマン劇場」第五幕の幕開けだ。
(以下、2014年当時のお話)

「やっぱり主役はオレ様だぜぃ、ベイビー!」
はげしい乱闘の末、勝ったのは、ヴァロージャ(ドローニンの名前、ウラジミールの愛称だよ)。

ヴァロージャ、ことドローニン (c)Yangsen


エイドリアン・ゼッカー&アマナット君組は負け。

↑ エイドリアン・ゼッカ ↓ アマナット君 (c)Yangsen
(c)Yangsen

それにしてもヴァロージャ、よっぽどうれしかったんだね。彼のサイトのニュース欄がもうすごいのなんのって。もうね、勝利の鬨、雄叫びの乱舞で、アマナット君、君の負けだぜ、ベイビー! アマンはオレのものだぜ、ベイビー! 的な記事がこれでもかってくらい並んでる。アマナット君がこれ見たら(当然見てるだろうけど)、憤死しそうだね。

ロス・カボスのホテルのプールサイドで、きれいなビキニのお姉さんがにっこり笑いながら「おひとつ、いかが?」って配りに来たアイスキャンデーなめながら、タブレット見てひとりで大笑いしてたら、隣りのデッキチェアでサングラスして雑誌読んでた奴が、フランス語なまり丸出しの英語で、
「このしけた世の中で、そんなに笑えることがまだあるとは驚いた」
と話しかけてきた。
ほれ、と見せてやったら、
「ああ、あのボルシチ野郎ね」
フランス人ってのは、ドイツ人のことはソーセージ野郎って呼ぶし、イタリア人はスパゲッティ野郎だ。他人の悪口言うのは大の得意。
「アニーがアマンが大好きなもんで、よく行くんだけれど」
って言うから、アニーってのが彼女の名前かと思ったら、ハニーのこと。フランス人は H の発音ができない。
「『アマン東京』のお誘いとかってのがボクのところにも来たけれど、ボルシチ野郎の資産を増やすのに加担したくないから、行かないよ。それにしても、オイル価格の下落で奴もそれどこじゃなくて、忙しいことだろうよ」
ってな話をしていたら、さっきからプールのへりのところに首のせた変な格好をしていた奴が、
「ハーイ! ボク、もう見てきたよ、アマン東京。オープン前にさ」
なんでも東京出張の際に、「貴方だけ特別にお見せしますから、どうか内密に…」って言われて見学したんだけれど、その後行ったシンガポールで会った知り合いが、「アマン東京? 見せてもらったよ、特別にアンタだけだからねって言われてさ」。
ようするに、そういうことらしい。

それにしても、最新のニュースのタイトルはすごい。

「ウラジミール・ドローニン〜スターたちのロシア人ホテリエ」。
「英国のプレスは彼のことを『ロシアのドナルド・トランプ』と呼んでいる」
「アマンのボスとして…」

なんてフレーズが次々に出てきてね。
もう、すっかりオレ様はホテル界の大物だぜぃ。
ヴァロージャって、いったい何者なんだってプロのジャーナリストたちが手を尽くして調べても、いつも決まった限られた情報しか出て来ない。こんなところが、奴もただ者ではないと、ボクは思うね。
そういう情報の少なさについて、ヴァロージャがこう語ったらしい。
「ボクたち、新世代のリッチなロシア人はね、あんまり人に注目されたくないし、アグレッシブだとも見られたくないんだよね」
って、高級リゾートでナオミ・キャンベルだの若い中国人のスーパーモデルたちとちゃらちゃらデートしているところを、パパラッチに撮らせていたのは誰だっけね?
奴はこうも言ってるらしい。
「ボクたち、ロシア人、良い教育は受けたけれど、貧しいファミリーの出。だから一生懸命、たくさん働く。一日16時間くらい働く。決断もすごく早い。だからビジネス、成功する」悪いか?
最後のはボクの付け足しだけど。
ロシアのテレビニュースを見ていると、徹底して、ロシアは悪くない、悪いのはヨーロッパとアメリカ、彼らのおかげでロシアは困っているが、屈してはいけないという論調で、プーチン大統領の人気はめちゃくちゃに高い。こういうのを毎日見たり聞かされたりしていたら、ロシアはヨーロッパやアメリカから不当ないじめを受けているっていう気になるのも当然だね。
ヴァロージャだって、全力で知恵を絞り、ありとあらゆる策を弄して、カネをつぎこみ、法もくぐりぬけて、自分の力でアマンを手に入れたわけで、何が悪い?ってなもんだろう。
アマン東京のオープニングの際にもヴァロージャはニュース欄でコメント出してるけど、
「アマン東京は次世代アマンとしてのシティホテルの皮切りで、今後はニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポールで展開予定だ」ってさ。
さて、奴のアマンはどんなアマンになるか、楽しみだね。
こう寒いと老酒でも飲みながら火鍋でも食いたくなる。ちょっくら台北にでも行ってくるか。
またね! 再見。

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