ロバート・デニーロにとってのホテルビジネス

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ヤンセンです。

 サッカー選手でホテルビジネスやる人はけっこう多いという話はロナウド選手の記事のときに書いたけれど、俳優で実はホテルオーナーでもあるという人も多い。たいていが自分の趣味と実益を兼ねて一軒ばかりホテルを持っているってケースだけど、なかにはビジネスとして本格的に取り組んでいる映画スターもいる。
 そのひとりが、ロバート・デニーロ、77才。
 二度アカデミー賞を受賞したハリウッドを代表する俳優のひとりだ。
 そして、バリバリの現役のホテリエでもある。
 ニューヨークのトライベッカにグリニッジ・ホテル客室数88室を所有しているのはよく知られているが、それとは別に、寿司職人だった松久信幸氏と共同オーナーでノブ・ホテルズというグローバル・ホテルチェーンも展開している。
 デニーロほどの超有名人だったら、自分の名前を前面に出したホテル展開しても良さそうに思えるけど、彼は自分は一歩さがって黒子に徹してる形をとり、ノブを表に立てる展開を選んだ。
 その理由は … 今回、イラストを描くので二人のツーショット写真を見てよくわかったね。
 まず、デニーロという人は非常に頭がいい人。そんじょそこらの人ではかなわない。
 そして、二枚も三枚も、いやもっとかな、何枚もの “衣” を被った “奥の間” をもった人だ。
海千山千のジャーナリストたちも簡単に手玉に取られているようだ。彼がインタビューなんかで答えた言葉をもとにして、デニーロっていうのはシャイだとか、あーだこーだと評しているけれど、そんなのはどれも彼がこう書いてほしいと思うことを書かされているだけじゃないかな、と僕は思う。とにかく人を煙に巻くのがうまい男だ。
 デニーロノブの関係をひと言で言うと、「中身」と「包装紙」の関係
中身、つまり考えているのはすべてデニーロで、ノブは自分の位置どりや役割をよーくわかった上で、それを演じているだけ。まあ、あうんの呼吸だろうけどね。その点、ノブも身のほどわかった頭がいい人だ。
 デニーロノブの出会いは、寿司職人だったノブがビバリーヒルズで出したジャパニーズレストラン「MATSUHISA」に客としてデニーロが訪れたことだったと言われている。店の常連客になったデニーロノブにレストランの共同経営を持ちかけ、ニューヨーク、ミラノ、ロンドンなど世界各地で展開するレストランチェーン「NOBU」をまず成功させた。
 そして、「NOBU」の出店先の多くが高級ホテルであることに目をつけたデニーロ「NOBU」のブランド力を使ってのホテルビジネスを考えた。ノブ・ホテルズを展開しているノブ・ホスピタリティーには映画プロデューサーのマイアー・テパー氏も共同経営者として加わっている。
 ノブ・ホテルズは現在、ロンドンやバルセロナなど世界各地で13軒のホテルを展開中で、マラケシュ、テルアビブなどでも7軒のホテルが開業準備中だ(レストランは47軒展開中)。カリフォルニアのマリブで開業した旅館スタイルのノブ・リョカン・マリブはオラクル創業者で最近はホテリエとしても熱心なラリー・エリソンと組んだホテルだ。

元妻の訴えで明らかになったコロナ下のデニーロの財政悪化

 さて、ずっと好調と言われてきたデニーロのホテルビジネスだが、実は、コロナの影響でかなりの打撃を受けていることがわかったのは、妻との離婚裁判を通してだった。2018年から離婚係争中の妻のクレジットカードの利用限度額をデニーロが財政悪化を理由に半額にしたところ、これに断固納得しない妻がこれまで同様に生活費として月額10万ドル(約1,100万円)の限度額に戻すよう法廷に緊急命令を求めた。それにより争いの内容が公になった。
 デニーロと20年間の結婚生活を送り、息子をひとりもうけた妻はアフリカ系アメリカ人の女優グレイス・ハイタワーだが、そもそも離婚裁判がこれほどまでに長引いている原因は、資産総額5億ドル(約550億円)といわれるデニーロの財産分与問題が妻の合意というか納得をみないこと、ようするにカネの問題。どこもみんなカネがからむと問題はむずかしくなるね。
 今回の調停にはデニーロもリモート出廷したそうだけど、コロナの影響で自分が出資しているレストランチェーン「Nobu」と「グリニッジホテル」などが営業停止や営業縮小になり、「Nobu」だけでも4月に300万ドル(約3億3,000万円)、5月には187万ドル(約2億円)の損失が見込まれるなど財政悪化しているため、妻のクレジットカードの利用限度額を半額にせざるを得なかったと主張したそうだ。なんせホテル界はいまどこも大変だからね。デニーロのところもマジで懐事情は厳しいと思う。
 でも、なんとかがんばってほしいね。
 I’m watching you! 見張ってるよ!
 って言ったら、こんなセリフが返ってきそう・・・
You talkin’ to me?
なんか用か?

*どっちも彼の映画の名セリフなんだけど、「I’m watching you!」はコロナ下のニューヨーク市民に向け、みんな大切な人を守るためにマスクするとか規則を守ろうよ!とデニーロが語ったビデオの最後で決めセリフとして言って大いに受けてたやつ。

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