ヤンセンです。
ホテル界の覇者は時代とともに入れ替わる。
1960〜1970年代の覇者は、アメリカの田舎町で生まれ育ち、ヒルトン・ホテルズを創業したコンラッド・ヒルトン。かのお騒がせパリス・ヒルトン嬢の曽祖父だが、野心満々の、いかにもアメリカ人らしいおもしろいオッサンだった。
1990年代のリゾート・ホテル界を牽引したのは、アマンリゾーツの創業者で元会長だった(現オーナーのドローニンとの闘いに負けちゃったんでね。詳しくは前の記事、見てね)エイドリアン・ゼッカ。ジャーナリスト&パブリッシャー出身の異色のホテリエだった・・・って、今は日本人と組んで瀬戸内海に今年ホテルを開業するらしいが、彼ももうすぐ88才の誕生日を迎える。
いわゆるラグジュアリー・ホテルのチェーン展開を手がけ、1990年代から世界のホテル界をリードしてきたのは、フォーシーズンズ・ホテルズだが、その躍進の契機となったのは1992年にリージェント・インターナショナルを買収したことだ。日本人ビジネスマンでホテル選びの目利きでもあった故高橋治則氏が開発を手がけた優良物件を入手することにより、一気にグローバルなホテル界での地位を確立した。その創業者であるイサドア・シャープも、今年90才。
そして、同じく1990年代、ホテル界を揺るがしたのは、スターウッドの創業者バリー・スターンリヒトだった。REIT(リート) という新しい金融システムをホテル界に持ち込み、従来の「足し算」ではなく、「掛け算」の論理により、一気に「ホテル王」となった。バリーも1997年にファンドを引っさげホテル界に彗星のごとく登場した頃はまだ30代だったけれど、その彼も還暦を迎えた。
みんな、みんな、年取ったね。
さて、今のホテル界はどうなっているのだろうか?
ホテルチェーン界のトップは、マリオットだというのはけっこう知られているけれど、じゃあ、2位は?
OYO オヨ。
OyoRooms オヨ・ルームス である。と言っても、知ってる人、あまりいないかもしれないね。インド人の若者が2012年に創業したまだ若い会社で、創業者&CEO のリテシュ・アガルワル君は弱冠27才。
創業時は19才の青年だ。上のイラストはその頃の写真を見ながら僕が描いたんだけど、きわめて冷徹・沈着で、思考に無駄がなく、ゆるぎない胆力を持っている男、と見たね。2020年には世界で2番目に若いビリオネアになったことでも知られているけど、カネを持ったからっていって、派手なことをするわけでもなく、セレブ界に染まることもなく、淡々とビジネスを拡大している。
このリテシュ君に早くから目をつけ、投資してきた日本人ビジネスマンがいる。孫正義だ。
こうしてみると、両者、実によく似ている。一見すると、柔らかい笑みを浮かべる温和な人で、どんな相手に対しても礼儀正しく丁寧に応対するが、その前提となるのは、ビジネスのため。ビジネスを進めるために必要であれば何でもするが、そこにいっさい無駄はない。
逆に言うと、ビジネスにならないことに対して無駄な時間を割くことも、情で動くこともない。情けはないし、反応すらしない。無駄だから。
次の記事では、リテシュ君がどうやってホテルビジネス界で短期間に台頭してきたかについて、書いてみたいと思っている。
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