実にマリオットらしからぬ、マリオット家の内輪揉め

 ヤンセンです。

 ひとつ前の記事で、マリオット・カルチャーのベースになっているのは、モルモン教の清く正しく生きましょう!的な世界観であると書いた。
 が、だからといって、みんながみんなそうであるわけではない。創業ファミリーであるマリオット家においても同様で、同じ両親のもとに同じ血を引いて生まれ、同じ環境で育った兄弟といえども、はみ出る子どもも出てくる。
 現会長の二代目、ビル・マリオットには3人の息子と娘がひとりいるが、次男とはひとまわり年下の末っ子、デイヴィッドが三代目を継ぐことになっている。なぜ、そのようなことになったのか。長男のステファンは、障害をもって生まれた(52才で死亡)ため、最初から跡継ぎの候補からははずれていた。ところが、期待が一身にかかった次男のジョン君が、一家にとっては問題児だった。
 すったもんだの末、ジョン君が実の父親と叔父に対して訴訟を起こすところまでこじれた。

「悪いのはパパだ!」

  2018年1月、ワシントンの地元メディア「Washingtonian」の記事『マリオット家の内乱』で、ジョン君は告白している。マリオット家においては、モルモン教がすべての中心だった。モルモン教の厳格な私立学校に通わされだけど、ぜんぜん自分では信じてないこの宗教がいやでいやでしょうがなく、学校をかわりたいと父親に頼んだんだけれど、ダメだと言われた。あまりにつらくて自殺しようとしたことがあったほどで、ある晩、どうしようもなく悲しくて両親の部屋に降りていって助けて欲しいと言ったら、パパは言った。
 「おまえは必要なものはすべて持っている。部屋にもどって寝なさい」
 って、うーん、こういうのがシコっちゃってるんだねぇ、ジョン君、50代終わりになってもまだ・・・。人間ってつくづくむずかしい。ジョン君、そうこうするうちに不眠症になったが、パパは大人用の精神安定剤を処方させたんだそうで、「それがボクをこんなにダメにしちゃった原因のひとつだ」・・・と今回の訴訟でもジョン君は訴えている。
 それでもなんとかユタ大学に入学し、モルモン教徒としての使命のひとつである2年間の布教活動を日本でやり、大学卒業前には結婚したジョン君(早婚なのは、兄が跡継ぎを作れない体のため、パパに早く子作りしろと言われた、とは本人の弁)。
 後継者として家業を継ぐべく、マリオットに入社。さまざまなポジションの仕事を経験し、41才の時にはニューヨークタイムズ紙の記事で「見た目もいいし、将来、父親の靴を履くには完璧にぴったりの人物のようだ」と書かれ、たぶん、すっかりいい気になってたジョン君だったろうと思われる。
 しかーし、周囲の評価はちがっていた。
 初代、二代目は性格も穏やかで、論理的、クールだが、ジョンはカッとしやすいし、言ってることがくるくる変わり、精神不安定、後継者には器不足だ、と。
 社会人になってからも、アル中、ヤク中で治療を受けたりしていたのだが、「ボクは仕事はちゃんとしてたし、パパは表沙汰にさえならなければいいって、ボクにはなんにも言わなかったもん!」とジョン君。
 しかーし、パパはバカではない。グループ存続のため着々と手を打っていた。故 アーン・ソレンソン氏を、初の創業者ファミリー以外から登用し、CEOに据えたのだ。そう、つまり、ジョンのCEOへの道は絶たれたってこと。それでもって、このソレンソン氏が非常に優秀な経営者だった。業績はぐんぐん伸ばすし、株価も上がった。
 ジョン君、おもしろくない。妻とも離婚することになった。ジョン君いわく、妻と別れるときにはその罰として、マリオットの系列会社のCEOを辞めさせられ、マリオット家の一族として持つ信託財産を使えないようにされ、経済的に破綻させられた。
 「だから、やむなく父と叔父を訴えざるをえなかったんだ。彼らはボクを破綻させようとしている!」
 ”ボクちん”が言いたいのはようするに、
 「悪いのはパパだ!」
 うーん、マリオット系ホテルに飾ってあるファミリーの写真とか見ると、絵に描いたようなパーフェクト・ファミリーなんだけど、どこにも問題ってあるものだね。

 

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